★『ワーク・ライフ・バランス はじめの一歩』開催されました

市民協働サポートセンターまんまる

2010年08月01日 09:50

7/31、長野市市民公益活動センター主催の講座、
『ワーク・ライフ・バランス はじめの一歩』が開催されました。
その様子をレポートします!


講師の高橋美紀先生
明るく、分かり易く講義してくださいました。

今回の講座は「はじめの一歩」です。
「問題意識をもってもらう」ことが狙いです。
講座の目標としては、
●「ワーク・ライフ・バランス」とは何か? を知ること
●「ワーク・ライフ・バランス」を自分の問題として捉えること
の2点をあげられました。


「ワーク・ライフ・バランス」とは
仕事と生活とのバランスを考え豊かな社会を実現しようということですが、定義としては下記のようになります。

老若男女誰もが、仕事、家庭生活、個人の自己啓発など、様々な活動について、自ら希望するバランスで展開できる状態
 (内閣府 男女共同参画会議「仕事と生活の調和に関する専門委員会」)

仕事と生活の調和が実現した社会とは、「国民1人ひとりがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる社会」である。
 (「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」(2007年))

■今なぜ、社会で「ワーク・ライフ・バランス」が叫ばれているのか。
ワーク・ライフ・バランスが浮上した背景を、
「社会の事情」「企業の事情」「個人の事情」から説明がありました。

社会の情勢は変化しています。

2009年以降、
少子・高齢化で労働人口が減少する社会に突入しようとしています(※)。
 ※統計の出展:子ども・子育て白書(平成22年版)

ワーク・ライフ・バランスは、少子化対策と直接には関係しません。
しかし、仕事以外のことにも時間を費やせる豊かな社会になることで、
少子化への解決にも繋がればいいなぁ、という考えも一部であるようです。

一方、
労働時間が長いからといって、生産性が高いとは限りません。
「労働生産性水準の国際比較(※)」では、
日本の仕事の生産性は先進国で最低レベル
だとか!!?
(これは、ショックですね!)
 ※出展:日本生産性本部「OECD加盟諸国の労働生産性 (2008年)

長時間働くとは別に、
高付加価値を生み出すアイディアが求められているようです。


企業の中でも、
スタッフに広がる「心の病」や、
長時間労働の蔓延によって
逆に生産性の低下がみられたり、健康が阻害されたり、
最悪の場合には「過労死」「突然死」の危険もあったりします。

2010年4月1日より、1ヶ月60時間を越える時間外労働については
法定割増賃金率が現行の25 → 50%に引き上げられました。


個人の中でも価値観が多様化しており、
この多様な人材を活かせる社会基盤が求められています。



■ワーク・ライフ・バランスを実践するには?
実践方法は色々とあります。
講義では整理された形で提示されました。

その中の1つに
仕事を「断る」という考え方があります。
なんでもかんでも仕事を引き受ける「なんでも屋」ではなく、
集中すべき分野以外の仕事は、思い切って断ったり委任したりします。
ブランディングという考え方のようです)

・自分の一番に取り組みたい分野、
 自分のやるべき仕事の範囲を理解、選択すること
・上記に集中し、他の仕事は人に任せるなどして断ります。

もちろん、個人の置かれている環境(自営、従業員、立場、時期)により、
必ずしもできることではないかもしれません。
しかし、このブランディングの考えが
結果として良い業績を上げることがあるようです。

他にも、
情報の共有、日頃からのコミュニケーション・信頼関係を築くこと、
マニュアル化、自動化などの効率的な仕組み作りなど、
会社にとっても、働く個人にとっても有益だと思われる点が幾つもありました。


講座の中では、参加者同士で4~5人のグループをつくり、
考えあうワークの時間もありました。

他の人の状況や考え方を聞くことは
新しい発見や学びがあります。
時間が足りないくらいに、盛り上がりました。

今回は、定員を超える参加者申込みがあり、会場は一杯。
「ワーク・ライフ・バランス」という講座で
一般の方がこれだけ集まることは、実は、なかなか難しいそうです。
(参加者の意識の高さを感じますね!)

参加された方が、
日々の仕事の中で、企業の中で、または、友人知人に対して
「ワーク・ライフ・バランス」という考え方があることを
伝えていって頂ければいいな、と思っております。

■日本を救う?
家庭で過ごす時間が増えれば、家族のコミュニケーションが増えるでしょう。
余計なトラブルも減るかもしれません。
子どもたちの健全な成長が期待できます。
未成年者の凶悪事件も減るかもしれません。

働く人は、無理の無い生活(食事、睡眠)ができ、
生活習慣病が減ることも期待できます。
医療費の削減も可能かもしれません。
税金も減るかもしれません。

時間が無くて、NPO活動やボランティア活動をあきらめていた人が、活動にに参加できるようになるかもしません。
参加できるようになれば、地域が抱える課題の解決が促進されます。


もし、会社を辞めても、
地域との関係も作れていれば、豊かな人生を送れるでしょう。

●まとめ
今回の講座をきっかけに、小さなことでもかまいません。
講師の方がおっしゃるように
何か1つでも、自分のルール
(例えば、食事は必ずとる、この日は帰る 等)をもって
日々の生活の中で実践していきたいですね。

それが、豊かな家庭環境、仕事環境、地域社会をつくっていく
はじめの一歩なんだろうと思います。
(記:よっしー!)

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